不思議なツボ、膏肓

東京・杉並で美座療法をしている施術室、てるこの部屋です。

私は鍼灸師です。たまにはツボ(経穴)のことなんかも書いておかなきゃね。と言っても当院は普通に見えて普通じゃない施術室。怖~い話や不思議な話が苦手な方はスルーなさってくださいね。

さて皆さん、経絡と言う言葉を聞いたことはありますか?経絡とは氣が流れる線路みたいなもの。その経絡のところどころに氣の出入り口があるのですが、これがツボ(経穴)でここに鍼やお灸をします。ツボは言ってみれば駅のようなもの。よく使う重要なツボは快速電車が停まる駅、そうでもないツボは各停しか停まらない駅とでも思ってください。

背中を膀胱経という経絡が通っていますが、肩甲骨の内側に「膏肓(こうこう)」というツボがあります。今日はこのツボの話です。

膏肓…聞いたことがありませんか?これは二千数百年前の中国のある君主の話が元なんです。
君主は重病に罹り、遠くの地から名医を呼び寄せますが、その医師が到着する前の晩に夢を見ます。 病が2人の童子の姿となって「おれたちをやっつけに名医がやってくる。どうしたらいいだろう」「肓(こう)の上、膏(こう)の下に逃げ込めば大丈夫だ」と話し合っていたという夢でした。そして、名医が到着し診察するとこう言ったそうです。「残念ながら、病根は肓の上、膏の下に入ってしまっておりまして、そこには鍼は届きませんし、薬湯も達しません。ご病気を治すことは不可能です」
ここから(不治の病にかかる。また、病気が重くなって治る見込みが立たない)というような状態を病膏肓に入る(やまいこうこうにいる)と言うようになったのです。(ちなみに膏は心臓の下側、肓は横隔膜の上側を指し、内臓の最深部のこと)

上の写真を見ればおわかりでしょうが、ここが凝っている人って多いんですよ。それもそのはず、トリガーポイント(圧痛点)と呼ばれていて、痛みを伝える末梢神経の先端が集まっている場所なんだそうです。……と、ここまでは普通の鍼灸師が書く話。

実は、亡き夫は見える・聞こえる人でした。正確に言えば、脳腫瘍の手術前は聞こえるだけでしたが、手術後は見えるようにもなってしまったのです。整骨院を閉めた夫の代わりに死に物狂いで働いていた私はクッタクタでした。そんな時この左の膏肓が猛烈に痛くなる時があったんです。何も説明しなくても夫にはピタッと場所がわかり「てるちゃん、背中に変なものが憑いてるよ~。」と取ってくれたものです。「背中から首が出ているよ」「黒い蛇が付いてる」「もはや人じゃないものがいるよ」「あ、こいつヒヒヒって笑ってる」夫は私の皮膚をつねりながら○○を取り去ってくれました。

たま~に取らなくていいものまで取ってしまうこともありました。当院の患者さんにも見える方がいらして、ある時「綺麗な十二単みたいな着物を着たお姫様みたいな人が付いている」と言われたことがあります。案の定、帰宅すると夫が「綺麗な着物を着た女の人がいる」と言うのです。「やだ~、取って!」と夫にお願いしました。すると「あれ?今、女の人が『なんてことするんだッ!』って顔して去っていったよ」と(笑)

夫が亡くなりもう4年が過ぎました。しばらくこの膏肓のことは忘れていましたが、つい最近ここがセンサーになっていることに気づいたんです!何でもないのに(つまり何も憑いていないはずなのに)ピンポイントで重痛くなることがありました。まるで誰かが指先で私のツボを押しているような感じなんです。どういう時に重痛くなるか筋反射で調べていくと、自分が完全に整っていない時でした。整っていない要因は様々です。気持ちが穏やかでない、ニュートラルでない、ジャッジメントが強い、感情的になっている、変なエネルギーが介入している、感謝が足りない、掃除し忘れた箇所がある…何が足りないのか筋反射で見つけ出し、整えると瞬時に左膏肓の重痛さが消えるのです。(便利というか、本当に助かっています)

私の在り方・やり方がダメだと「てるこ、整ってないぞ!」と誰かがグイッと左膏肓のボタンを押すんです。(イテテテテッ!あ~すいません、直します)と毎日何回も繰り返しています。まるで孫悟空になったみたいです(笑)ま、膏肓というツボが不思議というよりも、私たち夫婦が不思議だというお話でした~ (^^ゞ

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この記事を書いた人

福井てるこ

20代はプロの舞台俳優として全国を回り、33歳から鍼灸の道に入る。