手放しと直接体験

東京・杉並で美座療法をしている施術室、てるこの部屋です。

腰痛で通っている患者様がいらっしゃいます。しかし、その日は身体のことではなく、仕事に関する課題を抱えていらっしゃいました。いつもなら私の筋反射でYesNoを高次に尋ねるのですが、その日はこれじゃないって思ったんです。その切羽詰まったご様子に、私の内なる声が(あれだ!あれをやれ!)と囁きました。

「あれ」とは、私が自分のために日常的に行っているもので、メニューにはないものでした。私はにっちもさっちもいかない状況のその方に「あれ」でズバッと切り込んだのです。

正直、その方法をしてその方がどんな結果になるか見当もつきませんでした。ただ私の内側から溢れるエネルギーのまま、こうお伝えしていました。「私には、今のあなたに最適な方法はこれしか思いつきません。やってどうなるかわかりませんが、今よりは悪くはならないはずです。どうかやってみてください!」私の中の何かが熱弁させたのです。たった20分程度それを行い、その方はただ「軽くなりました」とそれだけ仰って帰られました。

一週間後、その方はまたやって来ました。そしてこう仰ったのです。「あれから、ずっと軽いです。軽いとしか言いようがありません。昨日のことですが、朝の散歩の後に何故かクラシック音楽を聞いてみたくなったんです。今まではクラシックなんて難しくて敬遠していたんだけど。そうしたら、何ていうか…オーケストラのそれぞれの楽器の音がはっきり別々に聞こえてきたんです。でも、頭の中ですべてが完全に溶け合ったハーモニーになっているんです。あんな体験初めてでした。」

そして、その方はさらに続けました。問題解決に繋がるであろう想定外のことが、この一週間の間に起こったというのです。不思議な話ですが、実はこれは宇宙の基本のキなんじゃないかなと思っています。(これしかない。これじゃなければダメだ。)という拘りや抵抗、反発、頑張りすぎが苦しみの原因であり、幸せや平安から自らを遠ざけているのです。しかし、自分がどういう思考や感情を持っているかに気づき、それを手放すと、宇宙のエネルギーの流れに乗って、その人の(自我ではなく)魂のいちばん満足する場所に勝手に流されていくのです。

手放し」はある意味「受容」です。自分が持っている「これはいいことだ、あれは悪いことだ」という価値観やジャッジメントのものさしを手放して、(何も変えようとせずに)ありのままの世界を眺めるのは「この世界を全受容している」ことになります。すると、何が起こるかは事前にはわからないのですが、必要なことが起こり、必要な場所に導かれるのです。(つまり、このままでいいんだ、今が完全な調和なんだと心から思えることが大切なんです。不足感や欠乏感、葛藤を持っていては一時の満足はあっても本当のやすらぎや幸せを感じることは出来ない仕組みになっているんです。だから、感謝が常態になるまで毎日行うと良いのですよ~!)

話は戻りますが…その患者様の不思議なクラシック音楽の体験はいわゆる直接体験だと思うのです。私たちは知識や過去の体験のフィルターを通してこの世界を見たり体験したりしています。ありのままに見たり体験したりすることはなかなか出来ないんです(子どもの頃、あんなに楽しかったのはきっと初めての体験が多かったから)。私たちは、例えば食事をする時(天ぷらってこういう味だ)とか(ラーメンってこんな感じだ)という知識や前提の元に味わっているのです。もし、その前提がなくなったら、あるいは何かを本当に初めて食べたら、どうでしょうか?

私が以前、エネルギーワークを教えていた時、思考がパッカーンとなくなる方が続出していました。あるクライアント様が講座の帰り道に食べたラーメンについて『あんなに美味しいラーメンを食べたことがない!』と興奮気味に語っていました。私は(え?あそこはラーメン激戦区の荻窪の中じゃそうでもない店なんだけどな…)とびっくりしたことがあります。今思えば、あのクライアント様はラーメンの直接体験をされたのでしょう。

最近こんなことが続いています。自分を制限している信じ込みに気づき、それを手放すと劇的なことが起こるのです。予想の斜め上と言いますか、本人にも全く想像もつかないような事や物がやってくるのです。私的にはどんな信じ込みも手放すことがお勧めです。これは役に立つ考えだから取っておこうというのではあまり変化しません。あらゆる考えを手放し、空っぽの状態がいいのです。空っぽだからこそ、何のフィルターもかけずに世界を眺められるのです。すると世界との直接体験をするのです。これって、そこそこ上手くいっている人には難しいかもしれません。崖っぷちだからこそ手放せるんです。

昔、瞑想をしていた時、先輩が仰いました。「神様は、私たちが握りしめている執着の手をすべて放すまで試練を与えて下さるの。それもその人にあった試練をね。人がそれぞれ違うように試練も人それぞれ違うのよ。神様って完璧でしょ?」ええ、本当にそう思います。きっと神や宇宙(それは自分自身でもある)は、自我が渇望するこの世的な幸せや成功ではなく魂の本当の望みを叶えてくださるのです。だから、あれやこれやの不幸や試練はそうなるまでの伏線に過ぎない、と私は思っています。だから、安心してください。誰の人生も完璧でいい人生なんですよ。

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この記事を書いた人

福井てるこ

20代はプロの舞台俳優として全国を回り、33歳から鍼灸の道に入る。