昨日に続いてカリール・ジブランの「預言者」より
死の恐れは、王の前に立った羊飼いのおののき。王の手は、栄誉を与えるために、かれの上に置かれようとしているのに。
おののきながらも羊飼いは、王のしるしを身につけることで喜びに溢れてはいないだろうか。
しかしそれよりもかれには、おののきが先立ってしまうのではないか。
なぜなら、死ぬとは、風のなかに裸で立ち、太陽に融け込むこと。それ以外の何でしょう。
呼吸の停止とは、息を、その休みなき潮の満干から自由にすること。それ以外の何でしょう。息が湧きあがり拡がって、妨げられずに神を探すことが出来るために。
沈黙の川から飲むときにこそ、あなたは本当に歌うのです。
山の頂に着いたときにこそ、あなたは登りはじめるのです。
そして、大地があなたの脚を要求したときにこそ、あなたは本当に踊ることになるのです。
「預言者」
カリール・ジブラン
至光社