「催眠による痛みのコントロールセミナー」というものを受講してきました。
私は、癌の末期の方に病院まで往診を依頼されることがあります。
催眠療法士としてもですが、もちろん鍼灸師としても興味がある分野です。
催眠をやっていると、痛みや症状に直接アプローチしていないのに、
頭痛や腰痛、冷え性が改善されるということが往々にして起こります。
心理的な課題の軽減や解消を目的として催眠を行うのですが、
おまけとして、肉体の不快な症状が消え去ってしまうのです。
これは、鍼治療と似ています。
鍼は局所の症状にアプローチするだけではありません。
流派にもよるのですが、私の場合は必ず全身・全体を診ます。
全身の治療し、体をゆるめると
例えば主訴の腰痛だけでなく、便秘も治ったり、頭痛も治ってしまうのです。
バランスを整えると、勝手に治っていくのです。
こういう力が「自然治癒力」というものです。
病は、どこかバランスが崩れているものです。
頭はカッカと熱く、足先は氷のように冷たい・・・
そういう方はとても多いです。
それでも、特別に不調も訴えず(実は鈍感になっているだけですよ)
仕事中毒、ストレスいっぱい、癌への道をまっしぐら、という感じです。
痛みをやわらげる誘導の催眠もいいですが、
あえて、痛みの中に浸りきってみるという方法もあります。
これも劇的に効くことがあります。
今ここ、この瞬間に、その痛みとやらの中に没入していくのです。
これは感情もそうなのですが、しっかり感じ切ると消えるという法則があります。
痛みは、避けたいものの筆頭ではありますが、
あえて感じるという方法はやってみる価値はあります。
アーノルド・ミンデルの言葉に「症状は、治療になる」というようなものが
あったと思います。
不快な症状は、より良くなるための信号なのではないかと思います。
私自身も、鍼をしていると身体からの脈動が訴えているように感じます。
例えば、患者さんとおしゃべりしながらツボに鍼をしていると、
まるで、私たちの会話に割り込んでくるように脈動が激しくなります。
「食べすぎだよ~」とか「呼吸器がたいへんだよ」と私には聞こえます。
この場合、私は患者さんに通訳することになるのですが、
催眠では、自分でちゃんと身体のメッセージを受け取ることが出来るので、
納得感が強く、クライアント自身が本当に早く自立していきます。
催眠療法も、心の自然治癒力を上げているのだと思います。