東京・杉並の鍼灸院、てるこの部屋です。
五十肩とばね指の患者様が、施術の会計時にこんなことをおっしゃいました。「つい気持ち良くなって…寝てるんだか起きているんだかわからなくなってしまって…そうしたら『てるこさんが何人かいるよ~』と誰かが囁いたんです。聞こえてきたのか、自分で思い浮かんだのか微妙なんですが…。」
私は思わず「おおっ」と唸ってしまいました。「てるこさんが何人かいるよ」といういうのは決して患者様のまどろみの幻聴ではないんです。なぜなら、その時私はある試みをしていました。それは分身の術のごとく、自分を客観的に見つめる自分をもう一人作って施術をしていたからなんです。(これには患者様もビックリ!思わずゾゾーとなったそうです)
一昨年から美座療法という高次元のお力をお借りする不思議な施術を行っていますが、効果を上げる秘訣があるんです。それは「我(が)」を入れないことです。しかし、言うは易く行うは難しです。いくら思考で(これから我を入れないようにするぜ)と思っても簡単には出来ません。なぜなら、施術という仕事は私にとって、とても重要度が高いからなんです(つまり、どうでもいいことだったら我は入らないんです(笑)。
通常、施術というものは施術者が行いますが、美座療法はすべて高次元におまかせなんです。おおざっぱに言えば、我が10%入れば高次のお力は90%になり、我が20%入れば高次のお力は80%になってしまうのです。なので、必死に(笑)我を入れないようにするのですが、そうすればするほど意識してしまい…一体どうすりゃいいんだぁ!と絶叫したくなったものです。
で、いろいろ試行錯誤しましたが、この日ふとある考えが浮かんできました。私がコーチングでお勧めしている「第三者の視点で見る」をやってみようと思ったのです。別の言葉で言えば「他人事のようにする」のです。自我にとって、自分や自分の患者様はとても大事なのでついつい頑張って力んでしまうんです。なので、施術がどうなってもいい、まったく責任のない立ち位置に自分を置いたのです。
患者様はベッドに横になっておられて、それを施術しているT先生(これは実はてるこです)がいます。で、私は施術風景を見ている立会人という立場になりました。T先生は一生懸命やっていますが、私のほうは(私も筋反射テストをやってみますね~)と全く責任のない気楽な立場で期待も投影もなく行うのです。で、施術の結果に対しての執着も持たず(だって、自分がやっているのではなく、T先生がやっているわけだから)何か出来ていないところがあれば「あら~T先生、まだ完全に10割まで出来ていないですよ~」と中立の気持ちで助言するようにしたのです。
筋反射テストの精度も施術結果もとてもいい感じ。そして冒頭の患者様の言葉です。高次元の方々が「おやおや!てるこさんが何人かいるよ」と面白がって下さったのでしょうか。美座療法、本当に面白いです。そして、高次元に尋ねるとこの(他人事のように見る)というやり方も一つの通過点であり、やはりもっと高次と繋がることが施術の効果を上げることだと教えて頂きました。はいっ、精進いたしますっ!!!