『生還 死に直面した11人の記録』
癌や難病物の本の中でも、実にいい本だった。
なんで売れてないんだろ?
私は11人の中で、冒頭に出てくるレイモンド・ベルテがいちばん気に入った。
カウンセリングの教授だったレイモンドは、5つの癌にかかった。しかも末期。
しかし、彼はあきらめなかった。それどころか、治療の主導権をにぎった。
デリカシーのない医師たちと戦った。
ある時は怒鳴りつけた。
「この間抜け野郎め!」
しゃべれなくなった彼は、電気喉頭発声器の存在を隠していた医師に向かってこう言い放ったのだ。
癌患者は無力だ。
病気になっただけで辛いのに、圧倒的に知識量が違う医師と渡りあわねばならない。
上から目線の健康な医師と、余命を宣告される患者、、、。
私の夫もみじめだった。そのみじめさが辛かった。
勝者と敗者という感じがした。
「医師や看護師、家族と患者は、一つのチームなんですよ~」と病院で言われた。
そのように感じたことは、一度もない。
単なる医療ビジネスだ、と思った。
レイモンド・ベルテのように強くならなければ。
治療の、、、、人生の、、、、主導権を握るのだ!!!