受け取るってどういうこと?

杉並区西荻窪2分のサロン、てるこの部屋です。

この地球上で受け取っていないのは人間だけだと聞いたことがあります。植物も動物も遠慮なんかしないで目いっぱい受け取っているんです。人間だけが(私なんか受け取る価値はない)とか(たくさん貰うと厚かましく思われる)とか(頑張らないと受け取ってはいけない)とか思考で制限しまくりなんです。ところが、私の亡き夫は遠慮我慢努力もしないで1円のお金もなくても豊かに豊かに暮らしていました。

ある時、夫のポケットから小さなメモを見つけたことがありました。なんとそれは日高屋で餃子を1人前食べたらしく『お金を持ってきてください』と店側が書いたメモでした。つまり夫は無銭飲食したわけなんです。でも見た目で認知症に見えたのか悪意はないと思われたのか、お店の方がメモを書いて渡して下さったのですが、それさえ夫は忘れていたのです。思わずカーッと頭に血が上った私は「なんでお金ないのに食べたのっ!」と怒鳴りつけました。すると夫はキョトンとした顔で「ん?食べたかったから。」と答えました。まったく夫にはかなわない・・・「食べたかったから食べた」という当たり前の答えに怒りも一気に消え失せてしまいました。

夫は生前「豊かさとは受け取ること」だと言っていました。残念ながら、私がその本当の意味を知ったのは夫を亡くしてからです。私は頭でっかちだったので、受け取るってただ手に入れるというかもらうことだと勘違いしていました。そうじゃないんです、本当は。

受け取るって、それを楽しむことなんです。それを使って遊ぶことなんです。面白がることなんです。ただ手に入れて持ってるだけじゃ何にもならないんです。

人生がレモンをくれたら、レモネードを作れ」ということわざがあります。レモンには不快なものという意味があるそうです。人生にはいいことばかりやってくるわけではありません。そう・・受け取るっていいことだけじゃないんです。しかし、受け取らないとこのステージは終わりにはならないというのが私の考えです。陰も陽も甘いも酸っぱいも全部受け取って初めてオールクリア、次のステージに行けるのです。こっちは好きだから食べるけれどあっちは嫌いだからいらないということは出来ないのです。その抵抗が苦しみになるのです。

嫌いなもの、苦手なもの、絶対拒否したいもの・・これらが来ても工夫してみましょう。楽しみましょう。遊んじゃいましょう。それが究極の受け取り上手だと私は思っています。

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この記事を書いた人

福井てるこ

20代はプロの舞台俳優として全国を回り、33歳から鍼灸の道に入る。