わかったような言葉と具体的なアドバイス

夫の癌がわかってから、私の心身は本当に参ってしまいました。
精神的にも経済的にも、私は夫に「依存」していたのですね。
普段は偉そうなことを言っていても、夫に頼り切っていたのです。
そして、手術をしなければ3カ月でホスピス行きと医師から告げられ、
絶対完治はないというのなら、知能が低下してまで手術したくないと考えていたのが
手術を受けることになってしまったのです。
(病院という場所は、患者の意志があまり尊重されないのですね。説明も詳しくなく、
癌になって、本当に弱者になってしまったような悲しさをたくさん感じました。)


夫の入院中・退院後もたくさんの方から助けていただきました。
中でも、ご自身も癌になったり、ご主人を亡くされたりした方の言葉は
本当に心に沁み入りました。
ところが、そういう経験のない、まだご主人も健康な方からの
わかったような言葉には、いいようのない感情を覚えました。
「夫婦は、いつかどっちかが先に逝くから、、、。」
こんな言葉です。(だから、諦めなさいと言葉は続くのでしょうか?)
もちろん、私を慰めるつもりでおっしゃっているのでしょう。
でも、今ご夫婦共に健康な方から言われて、複雑な思いを持ったのは事実です。
また、よく言われたのが、
「ちゃんと眠って、食べたくなくても食べてね。自分のことを大切にしてね。」と
いうような言葉でした。
こういう言葉にも、だんだん疲れてしまいました。
また、「今が踏ん張り時よ。頑張って!」とか、
「本当に辛いのは、患者であるご主人のほうよ。」とか、
「ご主人の前では、決して泣いてはだめよ。」とか、、、。
私を励まして下さる方の言葉で、疲れ果てることがありました。
言われなくても、患者の家族はわかっています。
精一杯やっています。
心も体もクタクタです。
たっぷり寝たいし、美味しく食べたい、でもそれが出来ないんです。
どうやってそうやればいいんですか?
そこを教えて下さいよ!
心の悲鳴です。
でも、有り難い顔して、「お言葉」を頂戴していました。
ただでさえクタクタなのに、友人知人に気遣うことでさらに疲れました。
本当に、患者さんや患者さんのご家族を労わる言葉って難しいですね。
経験者の言葉や、言葉を発しなくとも眼差し一つで癒されるっていうことはあります。
私は、経験のない人がわかったような言葉をかけるより
一緒にいてあげたり、話を聴いてあげたり(聴いてもらうだけでいい)、
本人が好きそうな食べ物を差し上げるのがいいかなと思っています。
苦しい時、このアドバイスは具体的でとても有効でした。
「あなたは、考えて考えて考えすぎて、頭の中がいっぱいいっぱいになっている。
だから、隙間というか余裕がない。
そういう時は、良くない判断や不利な選択をしてしまいがちだ。
焦っていると、間違った選択をしてしまうんだ。
今は、いろんなことを決めないほうがいい。
まずは、思考でいっぱいになった頭を空っぽにすることだ。
それには、日常から離れて、遠くへ行くことだ。
一人で、遠方へ複数泊するんだ。一泊じゃだめだ。2泊3日、出来れば3泊4日。
何かを期待してはいけない。
何も考えないでいなさい。
何も決めないことを決めて行きなさい。
自分の心にスペースを作るんだ。
出来れば、大自然の中に行きなさい。
言葉は発しないけれど、自然はあなたを癒してくれるだろう。
人では癒せないものを、大自然は癒してくれるんだ。」
この方は、バブル期に10億円以上の借金を一人で背負い、
(22年かけて、返し終えたそうです!)
世間の裏の裏まで見て、どん底の底が割れて、底の下まで落ちた方です。
泥水をすすって生きてきたような方です。
どんな時に人は自らの命を捨ててしまうかも知っている方です。
こういう具体的なアドバイスは、本当に有効です。
私はこの方の経験には、一生かかっても及びもつかないですが、
焦ってコチコチの頭(思考)を緩めるのには、催眠療法が有効だと理解しています。
自分が初めて催眠療法を受けた時、
(たとえ夫が亡くなっても大丈夫。命は永遠。私はひとりぼっちにはならない。
夫が一番幸せに自由になれるようにしてあげよう)と確信できたのですから。
そして、私の心が安心したからこそ、夫の病状も良い展開になったのでしょう。
問題解決も重要ですが、ぱつんぱつんの心を「緩める」ことを、まず目指すのです。

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この記事を書いた人

福井てるこ

20代はプロの舞台俳優として全国を回り、33歳から鍼灸の道に入る。