夫の悪性脳腫瘍(グリオーマ)がわかった頃、
私は、ある鍼灸の団体に所属していた。
アメリカにも支部のある、歴史ある団体だ。
その会の講師クラスの方に、夫の癌を相談した。
話すそばから涙が溢れてきて、私はかなり取り乱してしまった。
その時、その方が言った。
「焦っちゃいけない。焦っちゃいけない。」
ただただ、おかしなくらいにその言葉を繰り返していた。
普通の癌ではない。
癌の中でも非常に難しい癌だ。
他に、かける言葉はなかったのかもしれない。
焦るなと言っても、焦ってしまう。
でも、やっぱり、焦ってはいけないんだ。
それが、今ならよくわかる。
その団体の創始者の方にも、夫を診ていただいた。
古武士のようなその先生は、グリオーマがどんな病気かも、もちろんご存じだ。
「あなた(私のこと)が、今この会に所属していることに、意味があると思ったほうがいい。」
ここには決して書けない、特別な技術の鍼をして頂いた。
「これは、悪いものではないかもしれない。」と治療の最後に言われた。
その先生の言うことなら、信じられる、、、そういう方だ。
その言葉は、のちに沖縄の不思議なおじさんにも言われた。
「グリオーマの患者は、他に4人来ているが、あんたのは違うよ。」
天下の大学病院の病理検査が間違うなんてことがあるのか?
それはいいとして、、、焦ってはいけない。
まず、焦っていることに気付こう。
焦っていると、大事なことを見逃してしまうから。