アーノルド・ミンデルの本の中にこんな文章がありました。
「コントロールしたいという気持ちを捨てれば、
もっと自分をコントロールすることができるのだ。
危険を冒すことが、結局はもっとも安全な手段となる。」
私は、コントロールの強い人間でした。
それは、心の底に不安を抱えていたからでしょう。
もっと安定したい!もっと安心したい!
その過剰な心配とは裏腹に、ある時不安定な大海原に放り出されてしまいました。
その時、なぜだかホッとしたのを覚えています。
「あぁ、もうだめだ、人生終わった!」という時から、
私の本当の人生が始まったような気がします。
どうしてそんな気持ちになったのかわかりませんが・・・
アーノルド・ミンデルは、人生を線路と列車に例えます。
治癒や健康は、駅です。
そこで停まったままでいることは出来ません。
降りることは出来ます。
しかし、また列車に乗り、遠く旅をしなければならないのです。
人生は、プロセスです。
写真のように、ある瞬間を止めることは出来ません。
流れているのが、自然です。
無常・・・常なるものは、ないのです。
赤ちゃんが、やがて大人になり、年老いて死んでいくように、
わずかだけれど、毎日少しずつ変化しています。
変化・動きは、人生の本質です。
最近、私のやるべき仕事がはっきりしてきました。
自然な流れを止めず、自然に流れるままに、その流れを生かすようにサポートすること。
たぶん、そういうことです。
それは、今の西洋医学が行っている「身体への過干渉」とは、対極にあるものです。
不安を煽って、患者本人の意思をないがしろにした医療と対極にあるものです。
熟れた果物が、自ら自然に地に落ちるように、
自然な流れを自覚出来れば、自分で決めていけるのです。
人は、不死身ではないのですから、その時がくれば苦しみ少なく逝くのです。
抵抗するから、苦しみが増すのです。
ではなぜ、人間だけが過大に抵抗するのでしょう?
それは、発達し過ぎた「知性」「知識」「脳」のせいでしょうか?
私の仕事は、余計な痛み、苦しみを取り除くお手伝いです。
それが体の痛み、苦しみであっても、
心の痛み、苦しみであっても。
そして、病はその人を成長させるプロセスの一部なのだということを
静かに分かち合っていくことです。